171センチ90キロ、風俗嬢始めます(3)

ストーリー・コラム

前回の(2)では、

【170センチ越え・90キロで、

ダサくてブサイクで地味でデブな中年の、

とうの昔に女として見られなくなったオバさんが、

貧乏脱出のために熟女風俗嬢になり、

数か月で老いも若きも関係なく、男性をトリコにする人気嬢に変身し、

とある人物と運命の出会いを果たし、使命に気づく】

という、

トンデモストーリーの冒頭、

【ワタシ、風俗嬢になります!】

と決意し、震えながら(?)面接までたどりついたところまでお話ししました。

今回は、実際の面接のようす、そしていよいよ、

面接後に起こったことをお話しします。


<前回のあらすじ>

とっても大柄、仕事に家事に介護に・・・

と奔走していて「オンナ」であることを捨て去り必死だった中年のわたし。

家族の入院治療代&生活費&母の施設利用料がほしかったわたしは、

風俗で働くことを決意!

しかし、面接申し込みをした最初のお店で業界の闇を目にします。

ゲッソリしているヒマはない!

傷心から再アタック、2つ目のお店での面接に、

体中の肉をふるわせながら(?)挑みます!


171センチ90キロ、風俗嬢始めます(3)

「好きなものをどうぞ」

すらりとした、仕事のできそうな背の高い店長と、

ファミレスの窓際の席に向かい合って座りました。

「なんでも好きなものをどうぞ」

たったこれだけの事でしたが、わたしは面食らいました。

なぜなら、これまで何回か、

一般的な就職の面接で同じようなシチュエーションがあったけれども、

毎回、わたしに「すきなものをどうぞ」と確認することなく、

相手の好きなものをふたつ注文されて、そのまま頂くようなことばかりだったのです。

「すきなものを聞かれる」というのは、

外で仕事関係の人とお茶をするとき以外でも、

自宅でもこれまでのプライベートでもなかったことでした。

周りの人からは「オマエに決める権利はない」

とばかりに、わたしが何を頼みたいか確認することなく、

「これでいいよな」

とあてがわれて、

そのまま「それでいい」と受け入れてきた人生だったからです。

自分には、自分の物すら決める権利はないのが、当たり前だったのです。

「ご遠慮なく、飲み物以外も頼んでいいですよ」

と言っていただきましたが、

面接中に食べ物を食べられるほどの余裕はなかったので、

アイスコーヒーを頂くことにしました。

店長は、

「あらためまして」

と言いながら、名刺を出しました。

「○○○の店長の、○○です」

と、まったくのビジネスシーンのように、自己紹介をし、

お店の資料と、アンケートシートを取り出しました。

名刺には、お店の名前とは違う会社名が書いてあります。

「もしかして、人違いでしょうか?」

と尋ねました。

すると店長は、

「いやいや、さすがに店の名前は、名刺にはかきませんよ」

とおっしゃいました。

今回面接を受けたお店は、大きなチェーン店でした。

店長の名刺に書いてあった会社は、

そのチェーンを取りまとめている本社の本当の名前です。

全てのお店がそうではありませんが、

大規模な風俗店は、大きな会社の事業部のうちの一つであり、

風俗店以外にも、いろいろな事業を行っているところが多いです。

「いろいろと確認事項もありますし、

またこちらの店のルールとか、仕事内容の説明などもありますので、

こちら記入しながら、

店のことを大まかにお話ししますね」

渡された資料は10ページくらいにおよび、

アンケートもA4サイズにみっしり設問がありました。

当然聞かれるであろうと思っていた、

「スリーサイズ」

の欄はなく、

家族構成や多店舗での経験の有無、

体にキズがあるか、出産経験はあるか、

タトゥーの有無、お酒が飲めるかどうか、

喫煙かかどうか・・・

ビックリするほどの多くの項目がありました。

(まるで、手術前の検査みたいだ)

書いている間、店長は

店のオープンの経緯や、オーナーの想いなどを話しました。

今お話ししている店長のお店は、いわゆる支店であり、

本店は西日本にあること、

オーナーももともと、デリヘル嬢をしていて現場のことをよくわかっておられるという事、

もともとシングルマザーで大変な思いをしたオーナーが、

同じ立場にある女性を助けたいと思って店をオープンさせたこと、

その思いが広がって、今は各地に支店があるということ・・・

書き終えると、資料をつかって仕事内容についての細かな説明がありました。

(仕事内容については、ここでは書かずにおきます)

(ざっくり言うと、いわゆる本番まではしない、サービス内容であるということです)

(それから、正式に届出をし、認可されたお店であることの説明もありました)

面接で、仕事内容について聞いてもはっきり答えてくれないとか、

「いつもと同じようにすればいい」と答えるようなお店は、

女性を大切にしてくれません。

その時点で、入店しないことを決めたほうがいいかもです。

きちんとした説明があるか、聞いたことに答えてくれるかは、

とっても重要です。

わからないことは全部その場で聞いてしまいましょう。

わたしのほうからは、事務所や、荷物を置いておく場所など待機室についてのこと、

そして、必要な持ち物、服装、

時間内に仕事が終わらなかったときにはどうなるか、

シフトの入れ方や、休みの申告についてなど・・・

さまざまなことを聞きました。

私の面接は、順調に進んでいるのだと、その時は思っていました。

ここなら、何の心配もない!

このまま、この店ですぐにでも働ける!

こんないい店長の店で働けるなら、きっと稼げるのだろうと思っていました。

手厳しい洗礼

ひとしきり、わたしからの質問の時間が終わると・・・

次は、店長からの手厳しい洗礼が待ちかまえていたのです。

先ほどまで優しく答えてくださった店長の表情が曇りました。

「申し訳ないのですが・・・

大変いいにくいことではありますが、

わたしどもの店に面接に来られる方の、

9割以上の方にお伝えする内容なので、

どうか落ち込まずに聞いていただきたいです。

ほとんどの方が、あなたと同じような体型の方なので、

お伝えしますね」

店長はまっすぐこちらを見据えて、話をしてきます。

きっと、これまでに何十人、何百人・・・

もしかすると何千人の女性に同じ話をしてきているのでしょう。

店長は同じ口調で、続けました。

「正直、今のあなたの見た目では、『稼げます』とお約束は全くできません。

当店は熟女店で、あなたは40歳です。

当店に在籍のキャストの年齢は30代後半から60代で、

100名以上の在籍がありますが、

あなたと同じような、太い体型のさえない普通の女性が半分以上を占めています。

しかし、

やはり人気なのは、

実際の年齢よりすこし若く見える、細身の体形の女性なんです。

そのような、スレンダーな美熟女の割合は、1割以下。

そこに、お客様の9割以上が集中します。

中には、大柄な女性、豊満な女性を好むお客様もいます。

でも、「そういうお客様もまれにいます」というくらいの、

少数派なんです。

その、「太ってても気にしない」または「太っている人のほうが好き」

という、全体の1割以下のお客様をめぐって、

スレンダーでない残りの9割以上のキャストが仕事を取り合う世界なんですよ。

お客様は選び放題、でも選ばれないキャストがあふれるんです」

オンナの値段

店長はわたしの胸を見ながら話をつづけました。

優しい穏やかな表情のままでしたが、

目は「品定めをする」動きをしていました。

(これは、子供のころ感じた気持ちに似ている・・・

「どの部分をあげつらって、いじめの的にしようか」と、

一番の欠点を探そうとしている目だ・・・)

太った女によくあることかもしれませんが、

焦りを感じるといやな汗をかき始めます。

普段はいたことのないパンストの中が蒸れて、

これまた普段はいたことのないスカートの裏地が、

びっちょりになってきているのを感じました。

立ち上がったら、

ファミレスの合皮の椅子に、

太ももの形の湿った跡が残ったことでしょう。

店長は話をつづけました。

「あなたは見た目は巨乳の部類に入りますが、

世の中の巨乳好きというのは、

ただ胸が大きいだけという体型が好みなんじゃなく、

細身の巨乳を好むんです。

大きければいいってわけではないんですね。

当店では、太っていない、通常体形の40代半ばの女性で、

8時間待機して1~2本というのが平均的な仕事量になります。

ただの巨乳なだけの太い人は、それ以下ということです。

1日いても仕事がない日もあります。

1日どころか、1ヶ月毎日出勤しても、

月に2本以下、というキャストもいます。

それでも通常のパートよりは、

1本でも仕事が入れば1日あたりの手取りは多くなります。

女が脱いだだけで、触らせるだけで稼げる時代ではありません。

当店の若い女の子のお店でも、普通体型の女の子が仕事をもらえず、

1円も稼げず帰ることもよくあります。

さらには、何日も無給になるという、厳しい状況もありえます。

熟女店は、その分金額がお安くなっていますが、

安くしたからといって、喜んでお客様が来られるか、と言ったらそうではありません。

それをわかっていただいたうえで、

入店するかどうかゆっくりお決めください」

と。

長い拷問のような時間でした。

またしてもわたしは小学校のころを思い出します。

一人一人黒板の前に立って、

「この子のいいところを言おう」

という授業がありました。

みんなそれぞれ

「かわいい」「走るのが早い」「やさしい」

などあげていき、

「みんないいところがあるよね」と認め合うはずの授業で、私の番が来た時・・・

誰一人、なにひとつ上げなかったのです。

わたしは、ほかの子のいいところを上げたのに・・・

そして、担任の先生は、

「そうだね、ないねぇ。先生も、わからないわ。

みんなもそう思ったんだね」

と言ったのです・・・

かなしいかな、わたしは変な記憶だけは強く覚えていて、

思い出したら悲しくなる時に、ピンポイントで思い出す特技がありました。

店長の口調は穏やかで、言葉も丁寧ですが、

ガッツリ「けなしタイム」でした。

わたしには、やっぱりこんな「女の世界」に入ることは、無理な話だったんだ・・・

と思うかたわら

(想像通りだ!やっぱり、見た目をけなされるんだ・・・わたしは、なんで「イケル」って思ったんだ??)

急に、自分の思い上がりに気づいて、恥ずかしくて

立ち上がって「ありがとうございました!やっぱりやめます!」

と・・・

言おうと思っていると、店長が続けました。

「わたしを店に置いてください!」

「この店は熟女店なので、

客層は若い女の子のお店とは違っています。

スタイルを求めていないお客様もいます。

そういうお客様は、やさしく接してくれる女性を求めていたりします。

ほかの女性では感じられない優しさを出せば、

あなたのような見た目でも多少は仕事はあると思います。

新人のうちは物珍しいので、

お客様も興味を持ってくれるかもしれません。

在籍する場合は、未経験者なので、

『完全業界未経験』として売り出します。

でも指名を頂くお客様には正直に

『業界未経験で、この店では若いですけど、

体形のわりに顔小っちゃくて若く見えますけど、

すごく太いですよ。

そして、芋っぽいですよ

って言いますよ。

私ども、オーナーの想いを受け継いで、嘘はつかない正直な店なんです。

最初のうちは私たちも頑張りますし、アドバイスもします。

やってみますか?

仕事のテキストもあるので、一回読んでみてから返事を下さい。

一回帰ってから考えてもいいですよ」

正直、「稼げない」と断言されて

わかっていたけれど大ショック・・・でしたが、

この業界にも正直で真っ当な仕事をする店があるんだと、

耳障りの良い言葉を並べないまじめな人がいるんだと感激し・・・

やってみようと思いました。

「平日は勤めに出ているので、月に5~6回しか出勤できません。

でも、どうしても稼がないといけないんです。

家族を養うために、いまもらっているお給料とは別に、

すこしでもお金が必要なんです。

わたしを店においてください。」

と頭を下げてお願いをしました。

面接のあとすぐに入店する場合と、

後日日を改めて入店する場合があります。

この仕事をするには、お店に住民票を提出しなければいけません。

住民票を持っていなかったら当日は働くことはできません。

「なくてもいいよ!試しに仕事してみる?」

というお店は、キケンです!

「わかりました。それでは、入店の手続きをしましょう。

お店のシステムをもっと細かく説明しますので、

いっしょにいきましょう」

わたしたちはファミレスを出ました。

店長は、

「わたしの車の後についてきてください。

コインパーキングにお車を止めていただいて、

そこからは、わたしの車で事務所に行きましょう」

(続きます)

朱実(あけみ)

人生がけっぷちの中年女性が一念発起、夜のお店に!

お茶引き不人気嬢が3か月で予約困難嬢にキセキの大変身!

人間不信になりメンタル崩壊した過去から立ち直り、
25キロ痩せ身も心も生まれ変わった私が、
これまでの経験から学んできたすべてのことを、お伝えします。

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